定跡の勉強で学ぶこと

2020年6月25日

今回は、将棋の「定跡」に関する記事を書いてみます。

 

テーマは「定跡の勉強で学ぶこと」です

「定跡」について

「定跡」とは

将棋の勉強を始めると、さまざまな戦法・戦型の存在を知ることになります。そして、その過程の中でやるべき将棋の勉強の一つとして出てくるのが「定跡」の勉強です。

 

「定跡」とは、その時々でお互いが最善を尽くして指した手の流れであり、正解手順と考えられているものです。この「定跡」は戦法・戦型ごとに多く存在し、また、一つの局面に複数存在することもあります。つまり、「定跡」は正解手順の一例なのです。

 

将棋は時代とともに「新手」が発見され、それに伴い「それまでの定跡」が覆されて、「新たな定跡」が生まれるという歴史を繰り返してきました。ですから、「定跡」はある意味、将棋の「歴史」を表すものの一つとも言えるでしょう。

「定跡」の構成について

将棋の「定跡」は、三つの構成要素によって成り立っていると私は考えています。

 

それは何かというと、

  • 手順そのもの
  • 手順の中の一手一手の手の意味や考え方
  • 上記の二つに合理性・妥当性があること

以上の三つです。

 

この三つの要素が揃って、その手順が「定跡」と言われるようになるのだと思います。ただ、三つ目の「合理性・妥当性」に関しては、極端なことを言えばその手順を指す本人にだけあればいいものなので、ある人だけしか指さない「定跡」というのも世の中にはたくさんあるでしょう

定跡の勉強について

さて、初心者の方がまず戦法・戦型の勉強をするときに主に意識するのは、「定跡」の手順そのものだと思います。

 

今ある「定跡」を勉強するというのは、他人が作り出した手順を勉強するということです。最初は、強い方の将棋を参考にすることから勉強を始めるのが自然ですから、まず手順に目が行くのはある意味当然のことでしょう。

 

ですが、手順は前述のとおり「定跡」の構成要素の一つに過ぎず、「定跡」の手順を覚えただけではとても「定跡」を使いこなすことはできません。しかも、中途半端な形だけの知識は、かえってマイナスになる可能性もあります。なぜなら将棋は、似たような形でも駒1枚場所が変われば、その局面での考え方も全然変わる可能性があるからです。

 

例えば「定跡」の手順を少し外れた時に、どう指せばいいのかがわからなくなってしまう、などということがありえます。ですから、「定跡」の勉強をするときはその手順だけではなく、一手一手の意味や考え方をしっかり理解することが大事です。

 

手の意味や考え方が身についていれば、たとえ定跡の手を忘れてしまっても、同じ考え方を用いて定跡の手と同じ効果を持つ手を探し出すことができます。この応用力を身につけて、「定跡」を使いこなせるようになることが大事です。

 

つまり、「定跡」は頼るものではなく用いるものなのです。

「定跡」の勉強の最終目的

「定跡本」の隙間とその先

よく私が子どもたちに「定跡本」での勉強について話すとき、次のように伝えています。

 

「定跡本はある意味教科書と同じで、そこに書いてあることは読んだ人なら皆知っている可能性があるんだ。確かにそこに書いてあることは大事だけど、本当は書いてあることの隙間に眠っている手や変化、そして本に書いてある結論のその先に宝物があるんだよ」

 

本に載っていることはあくまで「知識」ですから、読んだ人は皆知る事のできるものです。その「知識」を活かし同じ本を読んだ人と差をつけるためには使いこなす力、すなわち「知恵」が必要です。

 

この「知恵」を鍛え育てることが、うちの教室のコンセプトである「考える力を伸ばす」ということでもあるのです。

最終的に学ぶこと

そして「定跡」の勉強の最終目的は、自分の将棋を創ることだと私は考えます。

 

まずは前述のとおり、今ある「定跡」の手順やその意味・考え方を理解することからスタートします。それから、その「定跡」の一手一手や本の結論、そしてその先をしっかり検証していきます。

 

例を挙げると、

「この定跡の変化ではこの手が選ばれているけど、代わりにこっちの手ではダメなのかな?

 

「結論はこうなっているけど、自分にとっては本当にそうなのかな?

 

「本に書いてある結論のその先はどうなっていくんだろう?

 

というように、自分に対して疑問点を出してその答えを考え出していく

 

そうして出来上がったものが「自分の定跡」となり、ひいては自分の将棋を創ることに繋がっていくのです。

 

「定跡」の手を理解することで、「定跡外」の手を生み出す力を身につける。これこそが、「定跡」の勉強で最終的に学ぶことだと私は考えています。

 

今回は以上です。

ご覧いただきありがとうございました。