強くなるために将棋ソフトをどう活用するか

2020年6月25日

以前の記事で、ネット将棋を利用して強くなるための考え方について書きました。今回は、その続編的な記事になります。

 

テーマは「強くなるために将棋ソフトをどう活用するか」です。

 

実は私は、今まで将棋の勉強に将棋ソフトを使ったことがありません(汗)。というのは、将棋ソフトの良い点よりも悪い点の「弊害」の方が、「強くなる」ということにおいては気になってしまうからです。その部分も含めて、私なら将棋ソフトをどう活用するか、という視点で書いてみます。

将棋ソフトの「弊害」

PCの中の「将棋の先生」

もう約20年前ぐらいになりますが、私が将棋で強くなるために本格的に勉強を始めたころ、将棋ソフトの強さは今よりはるかに弱いものでした。それが今ではプロ棋士の方に勝ってしまうのですから、本当に信じられないほどの進化です。ソフト開発者の方々の努力と苦労は、並々ならぬものがあったでしょうね。

 

その方々の努力のおかげで、自分の家のPCの中に常に「答え」を教えてくれる将棋の先生がいるのと、ある意味同じ状態になりました。詰みを検索にかければ基本間違えることはありませんし、候補手を検索すれば、コンピューターの「答え」とその「計算手順」がずらっと出てきます。自分で考えなくても「将棋ソフト」が考えて「答え」を教えてくれる、という夢のような話なのです。

「指し手」への過程

しかし私は、その将棋ソフトが出した「答え」に実は、前述のとおり「弊害」があると考えています。

 

そもそも人間は将棋ソフトのように、短い時間で膨大な計算をして「答え」を出す、という作業が能力的にできません。人間が指し手を決めるときは、まず「考える部分」と「考えない部分」を判断して分けて、前者のみを検討するという作業が必要になります。

 

この「判断する能力」を、将棋ソフトは鍛えてくれません。ただただ、将棋ソフトの「答え」と「計算手順」が示されるだけです。つまり人間が「未知の局面」に出会ったとき、指し手を導き出すために必要な判断能力が、なかなか成長しないということになります。これが、私の考える将棋ソフトの弊害の一つです。

 

また将棋ソフトの「答え」は、検討欄に出てくるような10手前後の計算では成り立っていません。それこそ目に見えない水面下で、とんでもない膨大な量の計算のもとに成立して出てきた「答え」なのです。その根底部分である計算を人間は理解できないので、結局将棋ソフトの「答え」とほんの一部分だけ表示される「計算手順」を覚えるということになります。つまり、将棋が「記憶ゲーム」になってしまうのです。

 

ですから私は、将棋ソフトの出した「答え」は人間の「答え」にはできないという考えなのです。

 

以前の記事で、「考える力」を伸ばすことがうちの教室のコンセプトだと書きました。この「考える力」がソフトの答えに頼ってしまってはなかなか伸ばせないというのが、私が将棋ソフトを使わない理由なのです。

実戦で感じた弊害

その他にも、実戦で感じた「弊害」と思われるものがあります。

 

例えば私の身近にも、将棋ソフトでの検討をメインに勉強している子がいます。その子と将棋を指してていつも感じることは、良く言えば「シンプル」だけど悪く言えば「単調」だな、というものです。

 

計算で出た一つの答えだけで勝負しているような感じで、上手くいけば無駄がないということになるのでしょう。しかし、単調な将棋で狙いがほぼ一つなので、それさえ防げば「何もさせずに勝つ」という一方的な展開となってしまうのです。いわゆる「含みのある手」があまりないんですね。

 

この「含みのある手」を指せるようになるためには、一つの手に二つ以上の指した理由をつけるという練習が大事です。計算で一つの答えを求めてしまうような勉強方法だと、これはなかなか身につかないのかもしれません。

将棋ソフトを活用するには

頼るのではなく利用する

では、どうやって将棋ソフトを活用すればいいのでしょうか?

 

そのためには、「必ず先に自分なりの答えを出しておく」ことが大事だと私は思っています。つまり、答えを出すのを頼るのではなく自分の出した答えと比べて参考にする、というのが将棋ソフトの主な活用方法だと考えているのです。そうすれば、はっきりとした読み抜け等の確認作業ができますし、もしかしたら自分では気づけないような「発想」の手に出会えるかもしれません。その「発想」をさらに自分の力で練り込んでいくのも、将棋で強くなるために良いことだと思います。

 

要は将棋ソフトに「頼る」のではなく、将棋ソフトを「利用する」のです。

 

そしてもう一つ、はっきりとした読み抜けでもない限りは自分の答えをむやみに否定しない、ということが将棋ソフトを活用する上で大事です。

自分の答えを活かす

将棋ソフトを利用される方は、その目的は主としてその局面の「正解手」を求める、というものではないかと思います。ですが私は、求める正解手は必ずしも「正解」である必要はない、と考えています。自分の考えで出した「正解手」は、実戦で否定されるまではそれが「正解」でいいのです。

 

もし実戦で、その考えた「正解手」を使って負けた場合は、その理由が「手順等の技術的なもの」なのか「考え方そのものが間違い」なのかを検討します。前者であれば「正解手」は「正解」のままで、具体的な手順等の部分だけ考え直せばいいと思います。後者の場合だけ、自分の出した「正解手」が実は正解ではなかったのだと、考え方から練り直せばいいのです。

 

自分で考えて答えを出すという「努力」とそれで勝てた(正解だった)時の「喜び」が、将棋で強くなるためにとても大事なことだと私は思います。

 

今回は以上です。

ご覧いただきありがとうございました。

 

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