玉を寄せるために包んでみた

2020年6月21日

今回は、将棋の終盤において大事な作業である「寄せ」について書いてみます。

 

将棋においてすごく大事な考え方であり技術でもあるので、しっかりと子どもたちに伝えたいコツの一つです。

 

テーマは「玉を寄せるために包んでみた」です。

将棋における「寄せ」という作業

「寄せ」とは

将棋の終盤では、必ずと言っていいほど「寄せ」という作業が出てきます。

 

この「寄せ」とはどういうことかというと、大まかにいえば「詰みがある状況に追い込む作業」「または受けのない形に追い込む作業」などということができます。

 

私が子どもたちに話すときには、相手の玉の行ける場所をなくしていく作業と説明することが多いです。

 

詰め将棋である程度「詰ます形」が頭に入ったら、次に勉強するのがこの相手玉を逃がさない技術である「寄せ」の手筋ということになります。

 

例えば、必死のかけ方詰めろのかけ方等ですね。

 

将棋を自分の勝ちで終わらせるためには、必ずこの考え方とそれを実行するための技術を身につけなくてはいけません。

二つの格言

将棋の寄せにおいて、その考え方を表したとても有名な将棋の格言が二つあります。

それは、

  • 玉は包むように寄せよ
  • 玉は下段に落とせ

です。

玉は包むように寄せよ

この格言は、簡単にいえば「玉を上下左右から挟み撃ちにして逃がさないようにしなさい」ということです。

 

一方から王手ばかりかけて追い込んでいっても、逃げる場所がある限り相手の玉は詰みません。

 

そういう状態のことを「王手は追う手」といって、避けた方がいい手の一つによく挙げられます。

 

玉は下段に落とせ

この格言は、前述の「玉は包むように寄せよ」からの派生的な格言です。

 

玉を下段に追い詰めていって、上からは自分の駒下は盤の外には出れないというルールを使って挟み撃ちにしましょう、ということです。

 

実はこの「盤の外には出れない」というルールが、寄せという作業においてとても重要なポイントとなるのです。

玉を実際に包んでみた!

【図1】は、私が寄せの考え方を端的に表している問題として、よく子どもたちに出題しているものです。

この「飛車」1枚で「玉」を最短手数で詰ましましょう、という問題ですね。

 

まずはこの問題を使って、前述の「寄せというのは、相手の玉の行ける場所をなくしていく作業である」という考え方をしっかりと伝えています。

ちなみに、答えは本文の最後に書いておきますね。

 

この考え方がある程度理解出来たら、いよいよ実戦を使ってさらにこの考え方を積み上げていきます。

 

【図2】は六枚落ちの実戦局面です。

 

なかなか初心者の子は「玉を包むように寄せよ」と言われてもピンとこないと思います。

そこで、実際「目に見える」ように玉を包んでみました。

 

色を塗った太枠線の部分が「玉を包む四角形」となっています。

 

上手玉の上側と左側は、下手が自分の駒で玉がそれ以上動けないように包んでいます。

 

また、上手玉の下側と右側は先ほど述べた「盤の外には出れない」というルールを使って、同じく玉がそれ以上動けないようになっています。

 

こうすると、しっかり上下左右で「挟み撃ち」にしているのが、目で見えてわかると思います。

 

こうして、「包むように」というアバウトな部分を「目で見える」という明確なものに変えてあげれば、より理解が進むのではないかと考えています。

魅力的な将棋

厳しい手を指し続けて、最短で寄せきって詰ます。

 

代表的なもので言えば、谷川浩司先生(プロ棋士:九段)の「光速の寄せ」ですね。

 

そのスピード感あふれる終盤は、観る者を魅了する素晴らしい「匠の技」と言えるでしょう。

 

子どもたちの中でも「強い」という評価を受けている子どもたちは、総じて終盤に魅力的なものがある子たちです。

 

この他人を魅了する終盤力を、ほんの少しでもいいから多くの子どもたちに伝えたい、というのが私の目標の1つでもあるのです。

 

今回は以上です。

ご覧いただきありがとうございました。

 

※【図1】の答え

▲5二飛成 △2一玉 ▲4二龍 △1一玉 ▲3二龍まで

「王手」をかけずに玉の逃げ場所を一マスずつなくしていくのがポイントです。