指したい手と指すべき手について

2020年6月21日

今回は、将棋の「読み」に関することで、子どもたちに伝えていることの一つを書いてみます。

 

テーマは「指したい手と指すべき手について」です。

指したい手と指すべき手

どこからこの違いが出てくるのか?

まずは、私とある生徒の会話です。

 

私「君は将棋で勝ちたいかい?」

 

生徒「はい」

 

私「じゃあ、もし対局の中で君の指したい手と指すべき手が違ったとしたら、君はどちらの手を指す?」

 

生徒「うーん、どっちだろ?」

 

私「じゃあ、勝ちたいのならどっちを選ぶべきだと思う?」

 

生徒「それは指すべき手の方だと思います」

 

私「君は将棋で勝ちたいんだよね?じゃあ、指すべき手を指さないといけないのじゃないかな?」

 

私は、基本的には子どもたちに「君が指したい手を指せばいいよ」と話しています。

 

ただ将棋で「勝つ」ことを目的にした場合、自分の指したい手と指すべき手が違う場合には、やりたいことを我慢して指すべき手を選ばないといけない局面も将棋では多々あります。

 

将棋においては、この「我慢する」ということが勝負的にとても大事なことでもあります。

ある意味「心の強さ」を問われる部分ですね。

 

では、この2つの違いはどこから出てくるのか?

その答えは「読みのスタートラインの違い」だと私は考えています。

読みのスタートライン

私はよく将棋について、

 

「将棋は二人で指すゲームなんだよ。だから当然目の前には、自分が勝ちたい、言い換えれば君に勝たせたくない相手がいるんだよ」

 

「そして相手の指し手は、君に勝たせないという目的で選ばれた手なんだ。だから、勝ちたいなら相手の手に応じて君は手を選ばなきゃいけない。君にとっての最善手は相手の指し手によって変わってくるんだよ」

 

と子どもたちに伝えています。

 

つまり、前述の指すべき手というのは、この「相手の手に応じた手」だと考えています。

 

相手の手に応じる以上、読みのスタートラインは「相手の手」がスタートラインになります。

 

それに対して、自分の指したい手というのは「自分がこれから指す手」が読みのスタートラインだと思われます。

 

この「読みのスタートライン」の違いが、指したい手と指すべき手の違いとなっているのだというのが私の考えです。

相手の立場になって最善を考える

前述のとおり、相手の指し手は「自分が勝ちたい」ために指された手です。

 

ですから、その指し手には相手の意思や狙い、これからの具体的なビジョン等の情報が詰まっています。

 

将棋で勝つためには、それらの情報をしっかり読み取った上で相手の手に対してどう応じるかを的確に判断して、自分の指し手を決めていく必要があります。

 

相手の指した手ではなく自分の指したい手を読みのスタートラインにしたとき、そこにギャップが生じて形勢に差がつくのだと思います、

 

そうならないために意識することは、相手の手を読むときには相手の立場になって考えることです。

 

つまり「自分が相手だったら、どういう理由でどの手を最善だと考えるか」という思考プロセスがとても大事なのです。

 

これがないと自分の都合で相手の手を読んでしまう、いわゆる「勝手読み」ということになってしまいます。

 

将棋は2人で指すゲームなので勝ちにこだわるのなら、指したい手と指すべき手が違った時には、指したい手をぐっとこらえて指すべき手を選ばないといけないこと。

 

そして、そのためには「我慢」という心の強さが必要であること。

 

そして、将来的な目標としては「指したい手と指すべき手が一致するようになっていくこと」だということ。

 

これらが「将棋の読み」において大事なことだと、子どもたちに伝え続けています。

 

以上です。

ご覧いただきありがとうございました。