ビジネスとしての将棋普及について

2020年6月25日

今回の記事のテーマは「ビジネスとしての将棋普及について」です。

 

将棋道場・教室の経営者」と「将棋普及指導員」という二面から、考えていることを書いてみます。

ビジネスとしての将棋普及について

ビジネスとしての将棋

私は現在、将棋道場将棋教室を経営しています。これはビジネスとしてやっていますので、当然営利目的の経済活動となります。

 

その収入の内訳は以下のとおりです。

将棋道場の収入

  • 席料収入
  • イベント収入(道場内大会・将棋合宿等の参加費)
  • 外部イベント受託料(将棋教室の開催及び講師派遣・将棋イベントの運営)

将棋教室の収入

  • 月謝収入

私がこのビジネスを始めた当初は将棋道場のみの経営でした。道場が3年目に入った時、新たに将棋教室をやることにしたのです。

 

教室は、当初7人からのスタートでした。現在は60名弱(大人教室も含む)、最高が確か67名だったと記憶しています。正直全く指導実績のなかった身として考えると、予想よりはるかに多くの方にご入会いただけたと思っています。

 

私が道場を経営している場所は、もともと私の地元でもある福岡県北九州市です。昔はたくさん道場があったように記憶していますが、ほぼ軒並み潰れてしまいました。今ではテナントを借りて常時やっている将棋専門の道場は、おそらく地元ではうちだけではないかと思います。

 

道場を始める当初、私がこのビジネスをやるにあたって決めていたことは、「安売りをしない」ということです。というのは、何の実績もないただのアマチュアの考えとしてはおこがましいとは重々承知していましたが、私は「経営を軌道に乗せて一つのビジネスモデルになりたい」という目標を持っていました。

 

ですから、「将棋の価値」を下げることはしたくないという考えが根底にあったからです。

 

私は以前、知り合いの指導棋士に「あんたはプロなんやから」と言われたことがあります。もちろん、プロ棋士ではありませんし、プロ並みに強いという意味でもありません(汗)。将棋の指導を生業としてお金を受け取っている、という意味です。

 

ただプロ棋士の方みたいに強くはないけれど、大事なお金をいただいて子どもたちを導く立場である、ということに対する責任と緊張感は常に忘れてはいけない、と強く思っています。また同時に、ビジネス面での「将棋の価値」を下げるような行為は、できるかぎりやってはいけないとも考えています。

将棋普及指導員

その一方で、私はプロフィールにもあるとおり「公益社団法人日本将棋連盟公認 将棋普及指導員」という資格を持って、将棋の普及活動に従事しています。まぁ、この資格自体は、将棋教室で指導をする身として「肩書」の一つと思い取りましたので、その意味ではビジネスの一環なのですが…

 

この「将棋普及指導員」という資格は、取得の難易度という面から考えると特に難しいものではありません。三段免状(同時申請も可)を持っていて資格試験の受講料を払えば試験は受けられますし、その内容も筆記試験と面接だけで、ある程度の準備をしておけばほぼ大丈夫だと思います。根本的には合格してもらう試験、というイメージです。

 

ただ、ビジネス的にどれぐらい価値があるのかというと、正直、現状あまり価値はないように思います。少なくとも私の住んでいる地域及びその近郊で、この資格をもって教室等を開講し、それだけで生活できている方は聞いたことがありません。大都市なら事情は違うかもしれませんが、概ねそういう感じなのではないでしょうか。実際、私の住んでいる県で将棋教室を開講して活動されている将棋普及指導員の方たちは、一応月額幾ばくかの月謝は受け取られているかとは思いますが、ほとんど場所代などで消えていて事実上のボランティア活動状態になっているかと思われます。

 

また、資格としての保証の中身も、将棋の強さや指導力というよりは普及に対する熱意がこの人にはありますよ、という感じのものだと思います。

 

ただ、せっかく日本将棋連盟の公認という肩書で将棋教室を開けるのですから、「将棋普及指導員」という肩書も、その「価値」をもっと上げられないかなぁとは常日頃から考えていることでもあります。生活できるレベル、とは言いませんし、競争と淘汰の関係から全員がとはいかないでしょうが、ビジネスとしてもう少し需要のある環境が整ってくれば、「将棋普及指導員」という資格にさらに魅力が増すでしょう。もちろん都市や人口の規模等の条件によるところが大きいですが、将棋の普及活動を続けることで将棋教室や将棋イベント等の需要を増やしその価値を向上させれば、さらに今後少しずつ変わっていくのではと思います。

 

そのためには「上げる価値」に見合った中身がないといけないので、「将棋普及指導員」として指導力向上営業活動等のさらなる努力が求められますし、また、その資格取得条件指導力向上のための環境づくり等の改善が必要になると考えています。「ビジネスとしての将棋とのかかわり方」とか「指導者育成のための指導」など、そういった講座がそのうち需要が出てくるかもしれません。もしかしたら「将棋指導ビジネス」に興味のある方は、結構多いかもしれませんし。

将棋の普及活動

最近では、プロ棋士からアマチュアの方々まで、将棋の普及活動にものすごく力を入れていらっしゃいます。子どもの将棋大会を観戦に行くと、プロ棋士の方の指導を無料で受けられる、という光景も珍しくはなくなってきました。これは本当にすごいことだと思います。また、多くのアマチュアの方がボランティア活動として、全国各地で将棋普及に努めていらっしゃいます。

 

しかし、私はボランティアではなく、ビジネスとして将棋の普及活動を行っています。ですから「将棋は芸事であり、それを学ぶには相応の対価が必要である」ということをしっかりと伝えないといけないと思っています。そうやって少しでも「将棋の価値」を上げていくことが、将棋をビジネスとして活動している私の「使命」であり「存在価値」なのかな、と考えている次第です。

 

今回は以上です。

ご覧いただきありがとうございました。

 

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