八枚落ち編(5) ~八枚落ちの棋譜① スピードの攻め~

2020年6月21日

前回の記事に引き続き、うちの将棋教室の八枚落ちの指導方法について書いてみます。

 

今回は、私が指導の時によく子どもたちに並べて見せる八枚落ちの棋譜を一例として挙げてみます。

この棋譜は、特に「スピードの攻め」の代表手順として指導に利用しています。

 

これは、先崎学先生(プロ棋士:九段)の著作である「駒落ちのはなし」の八枚落ちの章で紹介されている「灘定跡」を、自分の指導内容に合わせてアレンジしたものになります。

この本は指導者側の目線で書かれていて、指導の際にとても参考になる本ですので、ぜひご一読ください。

 

なお、この棋譜は「最善の手順」というわけではありませんが、大事な考え方や手筋がたくさん出てきます。

 

実際の指導で子どもたちにこの手順を見せるときには、質問を交えながら1手ごとに解説しているのですが、今回はその中から私が指導のポイントとして一部抜粋したものになります。

「スピード」で攻める八枚落ち①

どこに成る?

現在、上手が△5三玉と上がったところです。

下手はうまく弱点である端に駒を集めて敵陣を破り、飛車を成れることが確定しています。

 

上手側は、とにかく駒を中央に集めて駒を働かせようとしています。

 

そこでいよいよ下手側は、前回の記事で書いた中間目標である飛車を成りにかかってくるわけですが…

 

ここで私は問題を出します。

 

「飛車を成るためには、まず香車を成らないといけないよね。香車が成れる場所は3か所あるけど、どこに成るのが一番いいと思う?」

 

この問いに対する解答ですが、まず三か所のうち一か所だけ、ここは違うだろうという場所があります。

それは1三の地点です。

 

なぜかというと、そこに香車が成ってしまったらまず目標にしていた「飛車を成ること」が達成できないからです。

 

さて、これで残り二か所に絞られました。

そこで私がどちらを正解にしているかというと、答えは1二の地点です。

成り駒は引いて使う

将棋の格言に「と金は引いて使え」というものがあります。

 

これはどういうことかというと、駒は前に進むように作られているので、後ろに引けば引くほど前に使えるスペースが広がって、駒が働くようになる、ということです。

 

香車」も成れば「と金」と同じく「」の動きになるわけですから、当然同じことが言えます。

 

そこで、どうせ引いて使うつもりならば、1一の地点に一度成ってから1二の地点に引くよりも、最初から1二の地点に成った方が1手無駄なく使えるというわけです。

 

たった1手の差に感じますが、これらを積み重ねるとかなりのスピードの差になってきます。

 

この棋譜は「スピードの攻め」を伝えることが主目的の棋譜ですから、その部分の差に繋がってくる考え方をしっかり伝えていくことにしています。

 

さらに数手進んで、しっかりと「成香」を引いて使えています。

 

この「成り駒は引いて使う」が、八枚落ちで伝える指導ポイントの一つになっています。

 

平手でもよく出てくる大事な考え方ですので、しっかり身につけてもらいましょう。

 

次回に続きます。

ご覧いただきありがとうございました。

 

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