八枚落ち編(4) ~勝つための方針と考え方~

2020年6月21日

前回の記事に引き続き、うちの将棋教室の八枚落ちの指導方法について書いてみます。

これまでは、八枚落ちで最初に伝える将棋の大事なコツについて書いてきました。

今回からは、少し実戦的な内容になります。

 

テーマは「勝つための方針と考え方」です。

勝つための方針と考え方

二つの方針

以前の記事で、将棋は「勝つための構想や方針」からそれに沿った「指し手」が導き出されるものだと書きました。

 

もちろん八枚落ちも同じ「将棋」ですので、その基本的な考え方は変わりません。

 

ですから、まずは八枚落ちをやりながらこの「考え方」をしっかり伝えていく、というのが当面の指導目標になります。

 

しかし、さすがに手合いが八枚落ちになったばかりの子が、いきなりどう勝つかの方針を立てろと言われても、そうそうできないでしょう。

 

なので、まずは何局か自由にのびのびと指してもらって、八枚落ちという手合いに少し慣れてもらいます。

 

その間にこちらは、その子の基本的な考え方や感覚技術レベルを把握する、という感じです。

 

そしてある程度それが掴めたら、いよいよ実戦的な話と入っていく、という流れで指導を進めていきます。

 

具体的には、まず八枚落ちで勝つための根本となる二つの大きな方針を、こちらから例として示して説明します。

 

その内容は以下のとおりです。

数の攻め

何度も今までの記事で書いてきましたが、将棋の基本は足し算であり数の攻めです。

 

ですから「上手にない駒をしっかり使って圧倒的な数で攻めて勝つ」というのが基本的な方針の一つになります。

スピードの攻め

八枚落ちというハンデはかなり大きく、そうそう上手に攻めるチャンスはやってきません。

 

その上手側の攻撃力の低さを突いて、八枚落ちでは「必要最低限の駒だけ使って、攻められる前に圧倒的なスピードで攻めて勝つ」というのがもう一つの方針だと考えています。

 

そのために大事なことは、指さなくてもよい手を極力省くということです。

 

この場合の指さなくてもよい手とは、

  • 動かす必要のない駒を動かす
  • 目的の場所に遠回りする(余分な動きをする)
  • 攻められていないのに、守りの手を指す

等があります。

 

これらの二つの方針はどちらも大事ですが、うちの教室では、八枚落ちにおいてはまず「スピードの攻め」の方を意識してやってもらうように伝えています。

 

なぜならこのスピードの攻めは、他の駒落ちの手合いよりも八枚落ちで一番意識しやすい勝ち方だからです。

 

どうしても手合いが厳しくなって上手側の駒が増えると、数の攻めの意識に比重を上げないといけません。

 

ですから最初は、極力守りは考えないで攻め続ける意識を持ってもらうために「スピードの攻め」を優先して伝えています。

 

また、現代将棋においては積極的に自分から攻めてリードを作り、そのリードを保ったまま勝つ、という考え方が主流です。

 

そのため流行りの戦法もかなり絞られて、指すときのスピード感も随分と速くなりました。

 

この「現代将棋」に対応できるように、まずはこのスピード感を感じてもらおう、というのがうちの教室の基本的な考え方になっているのです。

「考え」の進め方

基本方針が決まったら、次に何を考えてどう手を決め、将棋を進めていくかという話になります。

 

その考えの進め方を、次の順番で説明しています。

  1. 相手の弱点を探す(相手の弱いところを攻めるのが効率が良いため)
  2. 弱点に駒を集める(相手より多い数で攻めて、しっかりと敵陣を破るため)
  3. 飛車を成る(強力な攻め駒を敵陣内に作るため)

まず八枚落ちで目指す最初の目標は大駒を成ること、特に「飛車」を成ることに設定します。

 

最終目標である「玉を詰ます」ということの前に、中間目標をいくつか設定しながら達成を目指す、という感じです。

 

この時子どもたちに意識してもらっているのは、

 

考え方や手の良し悪しは気にしなくていいから、何でもいいので何かその時その手を指した理由をつけてみよう

 

ということです。

 

例えば、上記の1~3の考えの進め方の右側のカッコ内に書いてあるようなことです。

 

その時その手を指した理由をつける、というのが「考える力」を養うための第一歩だと思っています。

 

最初は、子どもたちはパッと感覚的に指し手を決めることがほとんどです。

しかし、この「感覚」というものはその子の個性でもありますから、大事にしないといけません。

 

ですから、その感覚を補完する意味で「理由をつける」という作業を取り入れています。

いつかこの二つがうまく融合できたら、きっと大きな力になるでしょう。

 

ただ、最終的にどのように指したいか、どの手を指したいかは子どもたちが決めるものです。

 

なので私は、基本的には「好きに指していいよ」と話しています。

 

強くなることが目的の子もいれば、楽しむことが目的の子もいます。

その「目的」を最優先に、伝えるべきことを伝えていきたい、というのが私の考えです。

 

今回は以上です。

ご覧いただきありがとうございました。

 

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