八枚落ち編(3) ~伝えるべき大事なコツ③~
前回の記事に引き続き、うちの将棋教室の八枚落ちの指導方法について書いてみます。
いよいよ今回は、八枚落ちで最初に伝える将棋の大事なコツの三つめとなります。
そのテーマは「駒を盤の中央に集める」です。
駒を盤の中央に集める
イメージは25マス
将棋には「陣取りゲーム」の側面があります。
というのは、盤上の「陣地」を押さえることで自分の駒を動かせる、言い換えると駒を働かせることのできる範囲が広がっていくからです。
そして、将棋において陣地というのは、自分の駒をその場所に持っていって相手の駒を近づけなくすることで確保できます。
では、どこに駒を集めていけばいいのでしょう?
その考え方をイメージしたのが、次の【図2】になります。
【図2】で塗りつぶしてある「5×5」の25マスに駒を集めると、その駒は働きがいい、と言われます。
だいたい盤の中央あたりですね。
駒をどこに動かすかを考えるときは、この範囲に駒が入っているかどうかを一つの判断基準として考えるのが良いと思います。
なお、「守り駒」は玉の近くが定位置ですから、この範囲に集める駒は基本的に「攻め駒」ということなります。
では、駒を中央に集めることの効果について、具体的に二つ挙げてみます。
玉への最短距離を押さえる
上記の【図3】のように、相手側が「馬」を盤の中央に持ってきた、もしくは成って作ったとしましょう。
そうすると、こちらの玉が盤の両端と中央に配置されていますが、それぞれどこにいても近いと思いませんか?
もし「馬」の位置がもっと盤の端に寄ってしまうと、すべての玉に近い位置とは言えなくなってしまうことがわかります。
以前の記事で、攻め駒を相手の玉に近づけていく、というのが将棋の大事なコツの一つだと書きました。
将棋において、駒がどの位置にいるかはすごく重要な要素です。
つまり、駒を中央に集めるというのは、相手玉への最短距離に自分の攻め駒を持っていくという意味合いがあるのです。
スピードの勝負
【図4】では、同じく相手側が、馬の力を利用して「歩」で壁を作っています。
こうされてしまうと、こちらの攻め駒が相手の玉に近づきたくても、盤の中央を通ることはできなくなります。
それに対し、相手はすでに中央に「拠点」ができているので、矢印のようにそこからこちらの玉を攻めることができます。
将棋が相手の玉を先に詰ました方が勝ちなゲームである以上、常に先に詰ますという「スピード」が求められています。
このように、駒の位置や距離とスピードは密接な関係にあると言えます。
ですから、駒を中央に集めることを将棋の大事なコツの一つとして伝えているのです。
以上今まで、うちの教室で八枚落ちの手合いにステップアップした子どもたちに、まず最初に伝える三つの大事なコツについて書いてきました。
もう一度整理すると、
- 相手より多い駒で攻める(4枚以上の攻めを目指す)
- 相手より安い駒で攻める(特に歩の使い方を身につける)
- 駒を中央に集める(目安は真ん中の25マス)
以上の三つとなります。
私は、この三つを何度も何度も繰り返し話しています。
人は忘れるのがある意味当然ではありますが、しっかり身につくまで根気よく伝えていきたいですね。
今回は以上です。
ご覧いただきありがとうございました。
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