~「丁寧に指す」ってどういうことですか?~

2020年6月21日

今回は教室をやっている中で、今までに生徒から受けた質問とそれに対する自分の考えを書いてみます。

 

今回の質問は「丁寧に指すってどういうことですか?」です。

「将棋を丁寧に指す」ということ

理屈をつける

ある日、一人の生徒から質問を受けました。

 

「先生、先生はよく丁寧に指しなさい、と言ってるけど、丁寧に指すってどういうこと?」

 

いやぁ、質問を受けて驚きました。

 

何が驚いたって、質問の中身ではなく今まで一度も質問をされたことのない、いやそもそも質問なんかしてきそうにないタイプの子にいきなり質問されたからです(笑)。

 

たしかに、私も普段からよく「丁寧に指すことが大事」とは言っていました。

 

しかし改めて考えると、この「丁寧に指す」という言葉は、自分の中でも何となく漠然としたものだったので、せっかくの良い機会をもらったと思ってそこに理屈をつけてみることにしました。

 

そこで私は少し考え、以下のように答えたのです。

五つのやるべきこと

私はその子に、「将棋の手を指す」という動作には五つのやるべきことがあるのだと話しました。

 

その五つとは、

  1. 頭の中で考える(手を探す)
  2. 頭の中で答えを出す(手を選ぶ)
  3. 頭の中で確認する(確認の読みを入れる)
  4. 頭の中で決心する(指し手を決める)
  5. 出した答えのとおりに指す(駒を動かす)

というものです。

 

この五つのやることを全て省かずに指したら、その人の棋力なりに「丁寧に」指したことになると思うよ、と私は伝えたのです。

 

こどもは将棋を指すときに早指しな子が多いです。

こちらの指し手にほとんどノータイムで返してきます。

 

そういう早指しの子の将棋を上記の五つのやるべきことに当てはめてみると

  • 1の量が全然少ない
  • 3の作業を省いている

という部分がほぼ共通しています。

 

ですから、その部分を省かないことが大事だと伝えているのです。

駒に触れない

さらに、私は普段から「駒を触ったり、持って考えないようにすること」を伝えています。

 

なぜなら、駒を持つという動作は前述の五つのやることのうち、5番目に至るまで必要のないものだからです。

 

そして、駒を持って考えていると、その駒を使うことしか考えないようになります。

他の駒を使うという可能性を探す作業をしなくなってしまいます。

 

そして何より、そういう子たちは動かした駒を戻す、という悪い癖がついていることが多いからです。

 

この動作は、駒を持つ指を離していなければ厳密的にば反則ではないのですが、とてもマナーの悪い行為だと将棋では考えられています。

 

プロ棋士の方が似たことをやった場合、対局終了後に相手の方にお詫びに行くぐらいのレベルの行為です。

 

これは指導者として、しっかり子どもたちに伝えないといけないものだと考えています。

 

このマナーを伝えるときには、

 

「将棋は実は、考えながら指すゲームじゃないんだ。将棋は考えながら指すのではなく、指すときには自分の答えを出し終わっているものなんだよ。だから、どの手を指すか決まるまでは、駒に触れる必要はないんだ」

 

というように私はよく話をしています。

 

もしこのマナー違反が改善されて行かなかったら、いつの日か将棋もチェスみたいに触れた駒を動かすというルールが追加されるかもしれませんね。

 

できればそうなることのないように、普段から礼儀マナーに関することもしっかり伝えて、伝統文化としての将棋という部分も大事にしていきたいと考えています。

 

今回は「丁寧に指す」ということについて、私の考えを書いてみました。

ご覧いただきありがとうございました。