将棋のさまざまな「顔」について(3) ~競技としての将棋~
前回の記事に引き続き、今回は「競技」としての将棋について書いてみたいと思います。
「競技」としてのとしての将棋
「楽しい」だけでは満たされない
将棋は楽しい「ボードゲーム」です。
以前書いた記事の中で、私はそう書きました。
うちの教室や道場に来る子どもたちも、始めたばかりの頃や友人とただただ楽しむことだけを目的に指すときは、本当に楽しいという気持ちがすごく伝わってきます。
表情もみんな笑顔で、ひたすら気のすむまで指し続けています。
しかし全員というわけではありませんが、ある時を境に、楽しいだけでは満足できない子が出てきます。
なぜかというと、将棋大会に出て「結果を出す」ことを求め始めるからです。
「悔しさ」を覚える
教室である程度努力を重ねて地力がついてくると、ほとんどの子が「将棋大会」に興味を持つようになります。
努力して新しい力を身につけたのですから、それを試す場を求めるのはある意味当然なことだといえます。
一番下の「初心者クラス」に挑戦している中では、まだまだ負けても「楽しい~」と笑っていられる子が多いです。
ところが、クラスがだんだん上がってくると、その分参加してる子どもたちは、そのクラスなりに努力を重ねた子がほとんどになってきます。
この辺りから、負けたことを悔しがる子やショックで泣き出す子が増えてきます。
しかし、基本は子どもの大会ですから、たとえ優勝できなくても入賞ぐらいの結果を出せばそれなりに評価されるし、満足できる部分もあるかと思います。
ところが、そのレベルを超えてしまった子どもたちは、いきなり厳しい「勝負事」の現実を味わうことになります。
それは、各地域の「代表」の座を求めてしまった場合です。
報われるのは基本「一人」だけ
小学生で、各県の代表を決める有名な大会といえば「小学生将棋名人戦」と「倉敷王将戦」の二つが挙がると思います。
どちらも入賞者から多数のプロ棋士が出ている、まさにプロ棋士への登竜門といえる大会です。
このあたりの代表を決める県予選大会になってくると、前述のクラスあたりとは、もうまるで緊張感が違います。
代表は年一回、一大会につき各県で原則1名だけ。
倉敷王将戦の方は2名枠の県もありますが、やはり基本は1名だけ。
それが「代表」というものなのです。
どんなに頑張っても、報われる子は勝負的にいえば代表になった子のみ。
「代表」になれなかったら、準優勝も予選落ちも同じだ、と言った子もいました。
いきなり厳しい話ですよね。
私も以前、代表クラスの優勝戦を観戦したことがありますが、緊張感が本当にやばかったです(汗) 。
30人ぐらいのギャラリーが大きな輪を作って、その中でたった2名の対局者が「代表」の座を賭けて将棋を指す。
呼吸するのも憚られるくらいの張りつめた緊張感だったことを、今でも鮮明に覚えています。
よく将棋強い子は「メンタル」が強いと言われますが、そりゃそうですよね。
子どもの頃から、あんなにシビアな「勝負」を経験するのですから。
ぜひ、お子さんが将棋をやっている保護者の方々には、一度代表クラスの決勝戦を観戦してみていただきたいです。
きっと、見たことのない将棋の「顔」を見ることができると思いますので。
今回は以上です。
ご覧いただきありがとうございました。
関連記事
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません